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2024.04.03

【無形文化遺産・日本食を支える発酵文化】食べられるカビと食べられないカビ

米麹

 日本食に欠かせない発酵食品

私たち日本人の食卓には発酵食品がたくさん登場します。しょうゆやみりん、味噌などの調味料に、お漬物や納豆、くさや。朝倉が生んだ和のスピリッツ「上座の露」も発酵のチカラで生まれたお酒です。発酵食の日本での歴史は古く、奈良時代の「大宝律令」によると醤(ひしお)を作って管理する「醤院」という部署が置かれたという記録もあります。今回は、日本が世界に誇る発酵食文化について、発酵の不思議や食べられるカビ・麹菌についてご紹介します。

発酵と腐敗はどう違う?

そもそも発酵とは微生物による食品の化学変化のことを言います。発酵と腐敗の違いは、微生物の種類や変化の見え方など科学的な違いによるものではなく、人間の体や生活に有益であれば「発酵」、有害であれば「腐敗」と呼ばれます。近年よく耳にする「熟成」は、発酵による化学変化後に温度や湿度を管理しながら寝かせて、おいしさをアップさせることを言います。

それではどのような微生物がおいしい発酵食品を生み出してくれるのでしょうか。主な微生物と発酵食品には以下のようなものがあります。

発酵でおいしくなる食品

・カビ…日本酒・みりん・味噌・醤油などをつくる麹菌や、鰹節をつくる鰹節カビなど。
・細菌…納豆をつくる納豆菌、酢をつくる酢酸菌、漬物やヨーグルトをつくる乳酸菌など。
・酵母…ビールやパンなどをつくる酵母菌

 日本の国菌・麹菌は和食のおいしさのベース

上座の露_グラス

「上座の露」も地元朝倉の大麦の麹を使用してつくられます

発酵して食品をおいしくしてくれる微生物の中でも、麹菌は日本の国菌とされるほど、日本食に欠かせない微生物。

麹菌は麹をつくるための糸状菌の総称で、カビの一種です。カビと聞くとビックリする方もいらっしゃるかもしれませんが、実はとても身近な存在。味噌や醤油、みりんや鰹節、お酒もこの麹菌を利用して作られています。

 食べられるカビ

かつおぶし

鰹節カビには有害なカビや細菌の増殖を防ぐ役割も

私たちの家の中でも水まわりなどでよく見かけるので、厄介者のイメージがありますが、カビには数十万以上の種類があると言われており、食品に使われる以外にも、ペニシリンという抗生物質に使われるアオカビのように、人間に役立つものもあるのです。

カビの一種・麹菌には以下のような種類があり、その発酵により食品がおいしく姿を変えます。

食べられるカビ(麹菌・コウジカビ)の種類

・白麹菌…焼酎などに使われます。
・黄麹菌…醤油や味噌、お酒などに使われます。
・黒麹菌…沖縄の泡盛などに使われます。
・鰹節菌…鰹節に使われます。

 食べられない・注意が必要なカビ

食べられないものは、ピーナッツやとうもろこしなどの穀物に発生することの多いアスペルギルス・フラバスや、植物に寄生する植物病原菌として知られるフザリウム(アカカビ)のほか、クロカビやアオカビなど注意の必要なものもあります。

注意の必要なカビ

・クロカビ…毒性はないとされるが、アレルギーや気管支疾患の原因につながることも。
・アオカビ…毒性のあるアカカビも一緒に生えている可能性があるため、注意が必要。

まとめ

お酒の色イメージ

「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、世界的にも注目を集めるようになった日本の発酵食文化。中でも日本の国菌・麹菌は、私たち日本人の食生活に不可欠なものと言えます。HAMONISTでは引き続き日本が世界に誇る発酵食文化と麹菌についてさまざまな情報をお届けします。どうぞお楽しみに。

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コメント

某サプリメントのニュースにより、まるで麹が悪者のように取り上げられるのを「???」という不思議な気持ちで見ていました。
発酵食文化は先人の知恵であり、我が国の食生活に欠かせないものです。ニュースやメディアでも多角的な視点から正しく報じられるといいなと思いました。
  • 2024.04.25 16:05
  • 多喜端麗

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