2024.05.31
自然豊かな朝倉市。北東部から東部にかけて山々が美しい稜線を描き、その山々から清らかな水が南側の九州最大の1級河川・筑後川に注ぎます。これからの季節、清れつな水がきらめく山里でのお楽しみと言えば、ホタルの鑑賞でしょう。近年まで、きれいな水にしか生息しないホタルが市内のさまざまな場所で見られましたが、平成29年7月九州北部豪雨の被災により、残念ながら見つけるのが難しくなってしまった場所もあるのです。今回は朝倉市内に点在するホタルの名所をご紹介します。
朝倉市黒川にある高木地区は、100年以上の歴史を持つおいしい梨の名産地。美しい水と緑あふれる山間部には「クリスマスツリーのよう」と表されるほど毎年たくさんのホタルが現れ、九州屈指のホタル大発生エリアとして知られていました。
平成29年7月九州北部豪雨では、記録的な豪雨により地区内に複数の土砂崩れが発生。高木地区に通じる道路は通行できなくなり孤立状態に。大勢の住民がヘリコプターで救助されました。
一夜にして流されてしまったホタルたちですが、ほんのわずかに生き残ったものも。現在も工事車両が行き交う高木地区では、あの美しいホタルの姿をまた見られるようにと復旧に向けて工事が進められています。
【高木地区のホタル】
平成29年7月九州北部豪雨で河川が被災したため、鑑賞することはできません。
筑前の小京都・秋月地区にもホタルの乱舞を見られる場所があります。秋月城跡の近くを流れる野鳥川の上流で、特に野鳥橋から目鏡橋にかけてホタルが現れます。観光客も多く車道も狭いので、交通には十分な注意が必要です。
【秋月地区のホタル】
野鳥端から目鏡橋にかけての野鳥川沿いに出現。車道が狭いので注意が必要です。
味のHAMONで取り上げた「【自生するのは日本でここだけ】朝倉のおいしい絶滅危惧種?川茸の和もの」の川茸(スイゼンジノリ)が自生する黄金川。水のキレイな場所にしか育たない川茸が自生したり、カワセミが見られるほど美しい水をたたえる黄金川ですから、ホタルにとっても住み良い場所と言えるでしょう。
ホタル鑑賞時は、清らかな川の流れにも耳をかたむけてみましょう。
【金川地区のホタル】
川茸やカワセミで知られる清流・黄金川に出現します。
地元で「大根川」と呼ばれる伝説の舞台・佐田川も朝倉が誇るホタルの名所。特に三奈木小学校付近は、毎年よくホタルを見ることができます。子どもたちにとても身近な小学校周辺という場所柄、美しいホタルの光が故郷の川や自然を守ろうという意識づくりにもひと役買っています。
【三奈木地区のホタル】
三奈木小学校周辺が見どころ。近くのコミュニティセンターでは、毎年6月にホタル祭りを開催。
先に紹介した高木地区(黒川地区)のように、ホタルが発生する朝倉の名所のうち、平成29年7月九州北部豪雨の被災地となりホタルが見られなくなった地域がいくつもあります。美しい自然とホタルの住む川を取り戻そうと復旧工事は今も続いていますが、毎年発生する豪雨や水害のため一朝一夕に復旧が叶うわけではありません。
1日も早い復旧を祈りつつ、清流の森に灯る幻想的なホタルの光をいつまでも楽しむために、私たちも美しい朝倉の自然を守らなければなりません。鑑賞時は以下のことに十分注意して、マナーを守って鑑賞しましょう。今日のあなたの行動が朝倉の未来の自然につながっているのです。
いかがでしたか?記事の内容についてのご感想や、ご自身の視点をSNSでシェアしましょう。HAMONISTの記事は、あなたの人生に寄せる波紋の源。朝倉から生まれた波紋を受け、あなたの心が感じた何かが、他の誰かの毎日を彩る新しい波紋として生まれ続けることを願っています。