2024.11.01
日本各地の地名には、さまざまな由来がある。なぜその地域がそう呼ばれるようになったのか探ると、そのコミュニティの中心となっていた神社の由緒にたどり着いたり、歴史や産業、文化にルーツが垣間見えることも。そんな地名にまつわる伝説・伝承や民話を取り上げるのが【あさくら地名ものがたり】。今回取り上げるのは朝倉市域を流れる佐田川。実は地元では佐田川という名前よりも「大根川」と呼ばれることの方が多いという。なぜ大根なのか?少し肌寒くなり今年の大根が出回り始めた今、この伝承について見てみよう。
季節を通して表情を変える佐田川。寺内ダム周辺は桜の名所、三奈木小学校周辺はホタルの名所としても知られる。今回の舞台は中流域に当たる相窪の佐田川橋周辺。この辺りは、大根が収穫される時期に水量が減り川の流れがなくなってしまうのだ。晩秋から春先にかけて降水量が減ることが原因のひとつだが、どのような物語が伝えられているのだろうか。
昔むかしの話。相窪周辺の佐田川で、収穫した大根を洗っていた老婆がいた。日暮れが近く、早く作業を終わらせようとしている老婆に、ひとりの旅の僧が話しかけた。
「私はもう3日ほど何も食べていない旅の僧です。体も疲れ空腹で死にそう…その大根を1本分けていただけないか」
強欲な老婆は「金はあるのかい?」と尋ねる。「修行の身ゆえ金は持ちませぬ」と旅の僧、「金がないのなら一つもわけてやらんわ」と老婆。「そうか、それではこの川では大根を洗えぬようになるぞ」と僧は持っていた杖で地面を三度突いた。それからというもの、この川は毎年大根が穫れる時期になると川の水が枯れ、大根が洗えなくなったということだ。
それでは11月1日現在、佐田川はどのような姿をしているのだろうか。チェックする方法のひとつにさまざまな機関が設置しているライブカメラがある。
本来、水位確認や防災のために設置されているライブカメラだが、季節ごとに現在の様子を見るのも楽しいものだ。佐田川には全部で4箇所にライブカメラが設置されている。移り変わる季節の景色や川の流れなど、現地のいまとつながるおもしろさを体験してみよう。
【佐田川に設置されているライブカメラ】
・佐田川清水橋ライブカメラ(福岡県庁県土整備部河川課)
・佐田川金丸橋ライブカメラ(筑後川河川事務所)
・佐田川上屋永橋ライブカメラ(国土交通省河川情報センター)
・佐田川板屋ライブカメラ(国土交通省河川情報センター)
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【参考サイト】
・朝倉市文化財保存活用地域計画(PDF)