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2024.11.05

【ユネスコ無形文化遺産登録へ】日本の酒造文化と「上座の露」

2024年11月5日朝、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が「日本の伝統的酒造りが無形文化遺産登録にふさわしい」という勧告を発表。これにより日本の伝統的酒造りの無形文化遺産登録がほぼ確実となりました。日本酒に焼酎、そして泡盛…日本の伝統的酒造りにはさまざまな方法がありますが、500年以上前に原型が確立したとされています。今回は朝倉が育てた和のスピリッツ「上座の露」の酒造りをご紹介しながら、世界に評価される日本の酒造文化について考えます。

上座の露_01

明治18年創業・ゑびす酒造の酒づくり

らんびきの樽のアップ

「上座の露」を手がけるゑびす酒造は、明治18年創業。伝統製法で醸した原酒を樫樽でじっくりと熟成させた「らんびき」で全国的なファンを持つ、朝倉を代表する酒造会社のひとつです。

原料の選定から発酵、醸造、発酵液を焼酎の原酒にする蒸留工程はもちろん、樽や甕で長期間熟成させることで生まれる唯一無二の味わい。発酵や熟成という自然(いのち)の働きと、それをじっくりと見守りおいしさを見極める蔵元のまなざしこそ、ゑびす酒造の酒づくりの根幹と言えるでしょう。

朝倉の復興を目指して生まれた「上座の露」

上座の露」が生まれる前夜、朝倉は平成29年九州北部豪雨による甚大な被害に苦しんでいました。「上座の露」は、原鶴温泉の酒屋・富田商店の店主が「復興の光となるものをつくりたい」という想いをゑびす酒造の蔵元に伝えたことから始まりました。

「朝倉のことを知ってもらい、訪れてもらう。お酒を飲んだ余韻の中に朝倉を感じられる、そのきっかけのひとつになれたら」と店主は話します。

百人一首第一首
秋月和紙

この思いに地域の人々が共鳴しました。ラベルには秋月の和紙を使い、地元で活躍する書家が揮毫。奈良時代の朝倉の地名「上座(カミツアサクラ)」と、天智天皇の詠んだ小倉百人一首第一首の「露」から命名。主原料には筑紫平野産の麦、英彦山の伏流水を使いました。朝倉の時と文化、自然が「上座の露」づくりでむすばれたのです。

酒づくりでむすぶ美しき日本の文化

日本の伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産登録に向けた動きにつながった理由は、日本の風土や自然を生かした優れた酒造技術だけではありません。「上座の露」が生まれた物語のように、酒造りが発酵について探究した先人の知恵に加え、地域の人々の思い・風土・産業・歴史・文化をひとつにむすぶ行為そのものであることも大きな背景と言えるでしょう。

「おいしい」の向こう側にある地域の色彩豊かな文化の数々。朝倉のメディアサイト「HAMONIST」が、「上座の露」とともに朝倉に心を寄せる時間のお供になれたら、これ以上うれしいことはありません。

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