2024.12.20
©福岡県観光連盟
12月2日、今年も氏子約30名が参加し大山祇神社のおしろい祭りが行われました。阿蘇神社の泥打ち祭り、杷木神社の鎮祭とともに「杷木三大奇祭」と呼ばれるおしろい祭りは300年以上の歴史があると言われる祭り。今回はこの祭りの内容と大山祇神社の御祭神・大山祇命(オオヤマツミノカミ)の伝説をご紹介します。
おしろい祭りは毎年12月2日に杷木大山の大山祇神社で開かれる祭り。新米を粉にして水で溶いたおしろい(しとぎ)を顔に塗り、その付き具合で豊作を占います。
おしろい祭りを紹介する朝倉市のホームページによると「昔の農家の人が、氏子の繁栄と新穀の豊作を神に感謝し、来年の五穀豊穣を祈願する、全国でも類のない奇習」だそう。おしろいが顔によく付けば豊作という風に来年の作柄を占うのです。
大山祇神社のご祭神は大山祇命(オオヤマツミノカミ)。杷木大山の大山祇神社のご由緒にある通り、山の神さまです。それではこのオオヤマツミノカミ、どのような神さまなのでしょうか。
オオヤマツミノカミ自身というより、その娘のエピソードが多く登場するのが、我が国最古の歴史書である「古事記」。最初にその名が出るのはイザナキとイザナミの神産みの場面です。
次はスサノオノミコトの八岐大蛇退治のエピソード。スサノオと結婚するクシナダヒメの両親(アシナヅチ・テナヅチ)が自らをオオヤマツミノカミの子だと名乗ります。
他にもオオヤマツミノカミの娘・カムオホイチヒメはスサノオと結婚しオオトシノカミとウカノミタマをもうけたという記述があります。ウカノミタマと言えば稲荷神。伏見稲荷神社の主祭神としてご存知の方も多いことでしょう。
「古事記」に記述のある大山祇命の伝説のうち最も有名なのは天孫・ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメのお話ではないでしょうか。
地上に降臨したニニギノミコトはとても美しい娘・コノハナサクヤヒメに結婚して欲しいと願います。ヒメの父であるオオヤマツミノカミはとても喜び、コノハナサクヤヒメの姉・イワナガヒメも一緒に結婚させようとしますが、ニニギノミコトは醜いイワナガヒメだけを返し、コノハナサクヤヒメとだけ結婚。実は、コノハナサクヤヒメと結婚することで木の花が咲くほど栄えるように、イワナガヒメと結婚することで岩のように長い命を持てるようにという意味を込めていたオオヤマツミノカミ。「イワナガヒメを返したので天孫の繁栄は永続しないだろう」と呪います。
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杷木大山では、大山祇神社に祀られるオオヤマツミノカミは女神であるという言い伝えがあります。女の神さまのお化粧を「おしろいをぬる」とすることから、おしろい祭りは生まれたとか。家につくまでにおしろいを洗ったり落としたりすると「ご利益が落ちる」そうで、たっぷりと顔におしろいを塗られた氏子の皆さんは、真っ白な顔のまま家路につきます。
最後に今年のおしろいの付き具合ですが、例年よりもたくさん顔におしろいが付いたようで、来年は豊作が期待できるそうですよ。来年の朝倉の実り豊かな田園風景が楽しみですね。
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【参考サイト】
・朝倉市ホームページ「おしろい祭り」